works

Vingt-Cinq ヴァンサンク

建築場所 倉敷市羽島
建築年 2013年
面積 172.24㎡(52.1坪)
用途 店舗
構造 木造2階建
種別 新築

塗壁と石が語る、英国の記憶。コッツウォルズの風景を纏ったヨーロッパ調レストラン建築

石灰岩色の塗壁と、積み重なる石のテクスチャーが、どこか遠い英国の村を思わせる佇まいを生み出しています。
イギリス・コッツウォルズ地方の石造り建築を参照したこの外観は、周囲の街並みの中にありながら、確かに異なる時間軸の空気を持っています。
アトリエクオーレが手がけたこの建築は、ヨーロッパ調レストランとして設計された、素材と様式への深い造詣が宿る一棟です。


コッツウォルズを纏う外観 ― 塗壁と石が織りなすファサード

外観を構成するのは、塗壁と石を組み合わせた重層的なファサードです。
コッツウォルズの民家に見られる、石の積み方と壁の色調を参照した外観は、日本の建築でありながら英国の郊外に迷い込んだような錯覚を生み出します。
石の凹凸と塗壁の質感が光を異なる角度で受け止め、時間帯によって建物の表情が豊かに変化します。


古材と漆喰が積み重ねる、店内の時間

内部に入ると、古材が天井や壁面各所に用いられ、使い込まれた木の表情が空間に年月の重みをもたらします。
壁を覆う漆喰の塗壁は、職人の手が刻む不均一な白が、古材の茶と柔らかなコントラストを生み出しています。
新築でありながら「ここにはずっと前から物語があった」と感じさせる空間は、素材の選択と組み合わせの精度によって成立しています。


風合いある素材が重なる、ヨーロッパの食卓

レストランとして設計されたこの空間は、食事という体験を豊かにするための素材の密度に満ちています。
古材、漆喰、石 ―― それぞれが持つ固有の質感が重なり合い、照明の光を受けるたびに室内に温かみのある陰影をつくります。
料理が運ばれてくる前から、すでに空間そのものが食体験の一部として機能する ―― そんな設計の意図が、細部にまで宿っています。


建築は、そこで営まれる時間が変わっても、素材と様式が刻んだ記憶を持ち続けます。
アトリエクオーレが設計したこの建物は、コッツウォルズへの敬意と、素材への誠実さが形になった、ひとつの建築的な仕事です。

Other